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煌めく波濤(はとう)
第1章 煌めく波濤
 19

「こ、ここは…」
 いわゆる『ポイントブレイク』という場所である…

 その高台の岬状の地形を周り込む様に緩やかにカーブしている道路脇のガードレール添いに、約一台分の駐車スペースがあり…
 その崖下の海の真ん中辺りでサーフィンには理想的な三角波が綺麗にブレイクしているのだ。

「ここって?」

「うん、普段は全く波はブレイクしてないけどさぁ…」

 そして碧曰く…

 その海底には一枚の大きな岩礁(リーフ)があって、波のウネリの向きとサイズ等の条件さえ合えば…

「その岩礁にぶつかって、こうしてブレイクする、秘密の、チョー秘密のポイントブレイクなのよ」

 波とは…

 海底の駆け上がり状の地形にぶつかって、ウネリが割れる仕組みなのである…

「しかもさぁ、干潮じゃないと崖下に降りられないし…」

 干潮になると、少しの砂浜が現れるそうである…

「なる程なぁ、この道はたまに通るけど全く知らなかったなぁ」

「でしょう、なかなか条件厳しくないとブレイクしないしさぁ…
 ブレイクしたってかなり速いから難しい波だしさぁ…
 ローカルだって殆ど入らないポイントブレイクの場所なのよ…」

 ブレイクが速い…
 それはつまり、ウネリが急激に盛り上っている海底の大きな岩礁にぶつかって崩れるから、波が急激に立ち上がる様になり、崩れるスピードも速いという事なのである。

 だが、それはエキスパートオンリーな、なかなか難しい波という意味でもあるのだ…

「でも、この風じゃ、他じゃダメだし…」
 そう、この場所は三方が崖になっており、風の影響を受けにくい…

「入るか…」
 だが俺は、この碧のキラキラな瞳に刺激されていたのだ…
 そして予想以上に碧がハイレベルであった。

 だが一緒にサーフィンをする事が楽しいのだ…

 俺達は崖をゆっくりと降りていき、干潮により現れた猫の額程の砂浜から海に入っていく…

 そしてこのポイントブレイクの波は本当に難しかった…

 しかしエキスパートな碧は、軽々とこの難しいポイントブレイクを乗りこなしていく…

「純はテイクオフ(サーフボードに立つ)のが少し遅いのよ…」

「もっと重心を後ろに寄せて…」
 
「ほらっ、このタイミングよ…」
 等々、碧によるサーフィン教室の様となっていた。

 だが、これもまた…

 楽しい時間であった…



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