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  バガテル第25番イ短調  (エリーゼのために)
第1章 エリーゼのために…
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 とにかく葵さんが明るく、元気で、健康ならば良い…
 そんな親心が、このご両親の全てなんだと分かったんだ。

 いつ亡くなってもおかしくはなかった重度の心臓病で…

 日本ではままならず、大変なお金を掛けてアメリカで移植手術を行い…

 そして『臓器の記憶』と云われる不思議な症状の現象が起きて、突然に女の子になったり、ピアノを弾いたり、天才並みにIQが上がっても素直に受け入れ…

 それらは全て…

 葵さんが生きていれば良い…

 無事に生きているならば…

 という、そんな親心が…

 親心が全てなんだと思う。

 だから…

 お友達となった、三つも年下の僕を…

 そしてこうして女の子になっている僕の姿を見ても…

 驚きもせずに、すんなり受け入れ、しかも喜び、褒めてくれる…

 それらの全ては、葵さんが生きていればいいというご両親の親心、愛情の、喜びの現れなんだ…
 僕は、そう感じ、思ったんだ。

 そしてそれを葵さんが一番理解しているんだ…

 一見、自由に、わがままに、好き勝手にしているみたいであるが…

 全ては生きて…

 これからもっと健康に生きていく…

 このご両親の愛情に応え、答える為にも、そして自分自身の為にも、一生懸命に生きているんだ。


 そして僕は、いや、僕も、少なからず、そんな葵さんの力となり…

 これからも共に歩み、生きていくんだ…

「そうだよ、駿、ありがとうね」
 僕の心の声を読んだ葵さんが、そう囁いてきた。

「え、あ、うん…」


「でもね、そんなに難しく考えないでね…」

 駿は、駿のままでいいんだから…

 あ、違うわ…

 とってもかわいい、おちんちんのある女の子になって…

 これから、もっとキレイでかわいい駿になって欲しいの…

「あ、うん、はい…」

「じゃあ、お部屋に行きましょうよ」

「うん…」

 
 こうして僕は、葵さんのご両親にもこの女の子の姿をも、完全に受け入れられてしまったんだ…

 それはこの葵さんの心臓の、心の安定の為にも必要不可欠なことでもあったんだ…


 それから僕は、この日を境に、葵さん宅にお邪魔して、女の子になって過ごすことになり…
 そしてそれから僕たちは更に、もっと愛情が深まっていき、葵さんの心とカラダが、がどんどんと安定し、春を迎える。
 

 
 
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