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  バガテル第25番イ短調  (エリーゼのために)
第1章 エリーゼのために…
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「あ、じゃあさ、来年、中学を卒業してからさぁ、一緒の高校にさぁ、この家に住んでさぁ…」

 一緒に通おうよぉ…


「うん、でも…」

 でも葵さんの高校は偏差値が高く、そして私立高校だから…

 学費も高いんだ…

 普通のサラリーマン家庭の僕の家ではとても無理なんだ…

「それはさぁ、お父さまに頼むからさぁ」
 と、サラリと言ってくるし…
 また、それが葵さんのお父さんならば可能ではあるんだ。

「勉強だって、もっともっと教えてあげるから、成績上げてさぁ」

「うん、でも勉強はそんな簡単には…」

 確かにこの三ヶ月で成績は爆上がりした…
 そして今までが悪かったし、ほぼまともに勉強なんてしたことがなかったから、まだまだ成績が上がる手応えはある。

 だけど、さすがにあの私立高校の偏差値には…

「大丈夫よぉ、わたしがもっともっと教えて上げるからぁ」

 駿なら出来るわ…

「う、うん、とりあえずは…」
 
 頑張ってみようか…

「そうよぉ、頑張ろう」
 葵さんはそう言いながら抱き付いてきた。

「あ、そ、そう、ところでさぁ…」

 そうなんだ…

 今日の葵さんは学校から帰ってきたばかりらしく、制服姿のままなのだが…

「あ、もう駿たらぁ、いやらしいんだからぁ」
 と、僕の視線に気付いてそう呟く。

 そう…

 制服姿の葵さんはすごく…

 綺麗で…

 いや…

 まるで…

 制服姿のコスプレにしか見えないんだ…





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