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  バガテル第25番イ短調  (エリーゼのために)
第1章 エリーゼのために…
 32

 魔法ならばずっと、ずっと掛かっていたい…

「あんっ、や、あぁ、し、駿くぅん…」

 快感の喘ぎを上げ…

 僕の口の中で、あっという間に射精した…

「ぁぁ…はぁぁ…ふぅぅ…」
 ぐったりとベッドの上に倒れ込む様に横になる。

「はぁ…し、駿くん…ごめんね…」
 するとなぜか謝ってきた。

「え…何で?…」
 何で謝ってくるのか?…

「だってぇ、わたしもぉ、あっという間にぃ…」
 早いんですもん…
 と、恥ずかしそうに呟いてくる。

「あ、そ、そんな…」

 そんなこと…

 僕にとってはどうでもよい…

 要は葵さんが感じてくれれば、それで良いのだ…

「でも…」
 すると、葵さんはスッと手を伸ばしてきて、僕の指に自分の指を絡めてきた。

「本当に…わたしでいいの?…」
 そう訊いてくる。


「はい、もちろんです…」

「本当に?…」

「はい、葵さんが大好きです」

「本当に?…」

「はい、葵さんを愛しています」

「う、嬉しい…」

 あ…

 葵さんはそう、満面に笑みを浮かべ、呟いてきた…

「あ、心臓が、心が…
 喜んでいる…わ…」

「え…」

 すると葵さんは上半身を起こし、ワンピースを捲り、脱ぎ…

「ほら…触って…」
 ワンピースの下のキャミソールを捲り上げ、胸を露わにした。

 あ…

 胸の中心…

 そう、左右の乳首の間…

 おへそに向かって手術痕が一本走っていた…

「ほら…」

 そして僕の手を取り、自らその手術痕に導いて…

「ほら…
 心が、ドキドキ震えてるでしょう?」

「あっ…」

 そう…

 確かに、その手術痕の下…

 胸の中心の奥深くが…

 ドキン、ドキン…

 と、脈打つように震えていた…

「心が…喜んでいるのよ…」

 そして…

「駿…愛してる…わ…」

「ぁ…」

 葵さんは、僕に抱き付き、キスをしてきた…

「はぁぁ、駿、愛して…る…」
 僕は、夢中で葵さんの唇を、舌を受け入れる。

「あ…ん…駿…しゅん…」

 キスが少し…

 上手になったわ…

 そう囁いてきた…

「あ、うん…」

 僕の心は震える…

 そして…

 僕は…

 葵さんと…

 そして…

 葵さんの心臓、いや、心と…

 ひとつになった…

 気がしてきていた…


 葵さん…

 愛してます…





 
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