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バガテル第25番イ短調 (エリーゼのために)
第1章 エリーゼのために…
33
あの夜からは…
「駿、ねぇ駿、しゅん…」
葵さんは僕のくん付けを止めた…
僕はそれがまた更に親密になった証しだと、嬉しくて堪らない…
だけどまだ『葵さん』
なかなか『さん』が外せないでいたのだ…
それは『照れ』『恥ずかしさ』もあったのだが、『憧れ』『尊敬』という意味もあったので僕の中でそう簡単に外せる、呼び付ける訳にはいかないのだった。
そしてもう一つ…
葵さんはあれから移植した
『意志を持つ心臓』のことを…
『心』と呼ぶ様になっていた。
それは葵さんの色々な意味での安定感と、あの心臓とのより一体感を意味し、表しているのだと…
僕はそう思っている。
そして…
「ねぇ駿、わたしね、すごくいいことを思いついたの」
僕の帰り際にそう言ってきた。
「うん、あのね…」
葵さんの提案により、僕は放課後、毎日…
勉強を教わることにする。
「ほら、そうすれば毎日、正々堂々と逢えるのよ、名案でしょう」
「うん…」
僕の成績は中の中レベルである。
最近は塾に行けと云われていたから、願ってもないことであった。
「たくさん勉強教えてあげるわよ…
このIQ130の天才がね…
それに…」
他の、違う勉強もたくさんしようね…
妖しい目の輝きを放ちながら、そうも云ってくる。
違う勉強も…
僕はまた、急にドキドキしてしまう…
次の日…
「初めまして、野上駿です」
「あら、かわいい男の子だこと…
よかったわぁ、こんないいお友達ができてぇ…」
どうやら母親によると…
小さい頃からカラダが弱かったから、僕が初めての友達らしいのだ。
「これから仲良くしてね」
「はい…」
実際は葵さんは病気のせいで三歳年上…
そして見た目も完全に中二の僕とは釣り合わないのであるが…
葵さん家…
『碑文院家』にとってはそんなことは関係ないらしく、友達という事が最重要事項らしい。
ちなみに『碑文院葵』がフルネームであり…
旧華族という由緒ある家系なんだそう。
「これでお母さまにも顔繋げられたし…」
いつでも来放題よ…
そうウインクをして笑う。
「じゃあ、さっそく勉強しようかぁ」
「うん」
「じゃあさ、じゃあさ、どっちの勉強からする?」
これから楽しい毎日が始まる…
あの夜からは…
「駿、ねぇ駿、しゅん…」
葵さんは僕のくん付けを止めた…
僕はそれがまた更に親密になった証しだと、嬉しくて堪らない…
だけどまだ『葵さん』
なかなか『さん』が外せないでいたのだ…
それは『照れ』『恥ずかしさ』もあったのだが、『憧れ』『尊敬』という意味もあったので僕の中でそう簡単に外せる、呼び付ける訳にはいかないのだった。
そしてもう一つ…
葵さんはあれから移植した
『意志を持つ心臓』のことを…
『心』と呼ぶ様になっていた。
それは葵さんの色々な意味での安定感と、あの心臓とのより一体感を意味し、表しているのだと…
僕はそう思っている。
そして…
「ねぇ駿、わたしね、すごくいいことを思いついたの」
僕の帰り際にそう言ってきた。
「うん、あのね…」
葵さんの提案により、僕は放課後、毎日…
勉強を教わることにする。
「ほら、そうすれば毎日、正々堂々と逢えるのよ、名案でしょう」
「うん…」
僕の成績は中の中レベルである。
最近は塾に行けと云われていたから、願ってもないことであった。
「たくさん勉強教えてあげるわよ…
このIQ130の天才がね…
それに…」
他の、違う勉強もたくさんしようね…
妖しい目の輝きを放ちながら、そうも云ってくる。
違う勉強も…
僕はまた、急にドキドキしてしまう…
次の日…
「初めまして、野上駿です」
「あら、かわいい男の子だこと…
よかったわぁ、こんないいお友達ができてぇ…」
どうやら母親によると…
小さい頃からカラダが弱かったから、僕が初めての友達らしいのだ。
「これから仲良くしてね」
「はい…」
実際は葵さんは病気のせいで三歳年上…
そして見た目も完全に中二の僕とは釣り合わないのであるが…
葵さん家…
『碑文院家』にとってはそんなことは関係ないらしく、友達という事が最重要事項らしい。
ちなみに『碑文院葵』がフルネームであり…
旧華族という由緒ある家系なんだそう。
「これでお母さまにも顔繋げられたし…」
いつでも来放題よ…
そうウインクをして笑う。
「じゃあ、さっそく勉強しようかぁ」
「うん」
「じゃあさ、じゃあさ、どっちの勉強からする?」
これから楽しい毎日が始まる…