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  バガテル第25番イ短調  (エリーゼのために)
第1章 エリーゼのために…
 38

「IQ130以上の葵さんが、今更中学生でもなんてあり得ないし…
一緒に通えなくたって…
 僕は毎日、ここに通いますよ…」

「えー、だったらぁ、わたしと駿は別々になって…
 わたしは一人で高校に通うってことになるの?」

「それが…」

 いちばんいいんじゃないのか…

 仮に、今更、葵さんに高校通学も必要なのか?…
 と、までも思ってしまう。

「確かにぃ、今更、高校もねぇ…」

 ほら、まただ…

 まるで僕の心の声が聞こえているみたいだ…

「大丈夫ですよ、僕はこれからも毎日、葵さんに逢いに通いますから…」

「うーん、それもあるんだけどぉ…」
 葵さんは、また、僕にしがみ付く様に抱き締めてくる。

「それもって?」

「なんかぁ、この先、駿にぃ、彼女が出来たら…ってぇ…」

 そう思っちゃうとさぁ…
 そう囁きながらキスをしてきた。

「え、そ、そんな、まさか…」

 そう、まさかである…

 僕は今の今まで、女の子にモテた事など全く無かった…

 バレンタインでさえ、義理チョコの一つも貰った事が無い…

「でも、これからは、モテるかも…」

 ううん、絶対にぃ、モテるはず…

 そう葵さんは言い切ってきたのだ。

「そんなこと…あるはずが…」

「ううん、ある、絶対にある」

「まさかぁ…」

「だってぇ、このわたしが、このわたしの心が、駿を大好きなのよ…」

 愛してるのよ…

 それに駿は、段々と変わってきてるし…

 更にキレイに、かわいい男の子になってきてるし…

「これからは、絶対にぃ、モテるはずなの…
 わたしにはわかるの…」

「それって、つまり…嫉妬心?…」

「え、あ、まぁ、そうとも言うかな」
 葵さんは恥ずかしそうに呟いた。

「それを言ったら、葵さんの方が、ずうっと…
 全然…
 遥かに…
 何倍も…」

 綺麗で…

 美しくて…

 魅力的だから…

「高校に通ったらモテまくりに決まってるよ」
 僕はそう言い返す。

 そして、これは誰の目にも明らかである…

「そ、そんなぁ、わたしは駿…
 駿だけ、駿一人だけだもん…」
 そう言って激しくキスをしてきた。

「あぁ、駿、しゅん、大好き、駿…」

「僕も葵さんが大好き…」

 そして僕達は、また、お互いを口に含み、愛し合っていく…



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