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  バガテル第25番イ短調  (エリーゼのために)
第1章 エリーゼのために…
 72

 そこには…

 僕の知らない…

 美少女が立っていた…

「え…」

 そして僕は一気に心が高鳴ってきた…

 いや、昂ぶりも感じてきていた…

 そして、なにか電流みたいなモノが心の中を走り抜けていった…

「ほらねぇ、やっぱりぃ、しゅんってぇチョー可愛いぃ」

 本当に可愛い…

 顔は、さっき葵さんにプレゼントしたピンク色のルージュを塗っただけなのだが…

 本当の…

 本物の…

 ボーイッシュなショートカットの女の子に…

 いや、美少女に見える…

 いや、美少女が鏡に映っている。

 ドキドキしていた…

 いったいこのドキドキという高鳴り、いや、昂ぶりはなんだろうか?…

 いや、さっきの心の中を走り抜けていった電流みたいなモノも…

 なんなんだろうか?…

「あらぁ、しゅん、また勃ってるわよぉ…」

「え、あ…」

 そう、僕は…

 ギンギンに勃っていた。

「あまりにも可愛いいから興奮しちゃったの?」

「え、い、いや…」

 どう答えてよいのかわからない…

「うん、そうよ、わたしも初めてワンピースを着た時には…」

 ドキドキ、ウズウズ、そして勃っちゃったもん…

「え、そうな…の?…」

「うん…そう…」

 すごぉくドキドキしてさぁ…

 ウズウズしちゃったの…

「あ、でもドキドキはきっと、この心が喜んだドキドキかもね?」
 と、葵さんは自分の胸に手を当ててそう呟いた。

「だって、スカート穿きたい、女性の服が着たい…は、さぁ…
 この心が伝えてきたから…」

 あ、そうだった…

 葵さんは、心臓の移植手術を受けてからは、命を繋ないだ代わりに、完全に人格までもが変わったって云っていたんだっけ…

 ピアノもそう…

 この女性的な心もそう…

 IQ130以上の天才の知能指数もそう…

 そして…

「しゅんを好きになった想いもそうよ…
 心が…
 しゅんが欲しいって…」

 伝えてきたのよ…

 葵さんはそう言いながら、僕肩を抱き寄せ…

 キスをしてくる…


「あぁ、しゅん、大好きよ…
 ホントの女の子とキスしてるみたい…」





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