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  バガテル第25番イ短調  (エリーゼのために)
第1章 エリーゼのために…
 8

 次の日の学校帰りも、その次の日も、またその次の日も…
 下校の帰り道に葵さんのお屋敷の横を通る度に
『エリーゼのために』のピアノの調べが聞こえていた。

『またすぐに来て…』

『ビアノの音が聞こえていたら、わたしはここに居るから…』

 朝晩と、通学時にお屋敷の横を通る度に、あの言葉が脳裏に浮かんでくるのだが…

 そして、また、葵さんに会いたくて仕方がないのだが…

 あのお屋敷を訪ねる勇気は無かった。


 そしてあの夜からは、毎晩、毎晩、葵さんを想い、自慰をしていた…
 いや、昂ぶりと疼きが自慰をしなくては治まらずに、とても眠れなかったのである。

 だが…

『おい、また、帰りに寄ってプリント預かってきてくれないかなぁ?
 先生達は何かと忙しいんだよ…』
 そう、再び、頼まれてしまったのだ。

「え…あ、はい…」
 そんな返事とは裏腹に、僕の心は一気に昂ぶり、高鳴った。


 それは…

 葵さんのお屋敷に訪れられるという…
 至極まともで、正当な理由が出来たからである。

 あの日から五日後の事であった…







 帰り道…

 葵さんのお屋敷の玄関前に立つと…

「あれっ…」

 いつもの…

 ピアノの…

『エリーゼのために』の調べの美しい旋律が聞こえない…

 え…
 居ないのか?

 葵さんは留守なのか?…

 一気に焦燥感が湧いてくる。

『ビアノの音が聞こえていたら、わたしはここに居るから…』

 だが、ピアノの旋律の調べが聞こえてこない…

 いつも、いや、あの日から毎日、この下校時間にお屋敷の横を通る時には必ず聞こえていたのに…

 留守なのか?…


 どうしようか…

 そう迷い、玄関前で逡巡し、立ちすくんでしまう…と…


「あっ…」

 突然…

『エリーゼのために』
 の、ピアノの旋律の美しい調べが聞こえてきた。


 居た…

 葵さんは居る…


 そして僕は…

 そのピアノの旋律の調べに導かれ、引き寄せられるかの様に…

 玄関脇を通り抜け、中庭に歩いていく。
 
 段々と美しいピアノの旋律の調べが、耳に心地よく、大きく聞こえてきていた…


 そして…


 心も昂ぶってくる…






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