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  バガテル第25番イ短調  (エリーゼのために)
第1章 エリーゼのために…
 92

 スカートを履いて外を歩く…
 その感覚はもちろん初めての感覚だった。

 短パン一つで歩いているのと同じだろうと、考えていたのだが…

 全然違うんだ、いや、根本的に違っていた。

 もの凄く…

 股間がスースーする。

 多分、フレア気味なスカートだから余計スースーしたのだ…

 そして…

 実は、ストッキングを直穿きであったから、スカートの裏地が股間と擦れ合い…

 気持ちがいいんだ…

 だから、僕は、歩きながら…

 勃ってしまっていたんだ…

「あぁ、ヤバい」

 思わず声が漏れてしまう…
 そしてその勃ってしまった股間辺りを見る。

 ストッキングの圧力で、かろうじて、勃起は隠せてはいるのだが…
 歩く度に擦れ、ますます感じてしまい、ウズウズしていたんだ。

 だが、不幸中の幸いなのか…
 そのスカートの裏地の擦れにより、自然と内股歩きになり、より女の子的な歩みにはなっていた。


 コンビニまでは坂道を降りて右側にあるから、僅かに約200m程なのだが…

 この初めての女装…

 初めてのスカート…

 初めてのパンプスの履き心地に…

 戸惑いと…

 昂ぶりと…

 裏地の擦れによる快感で…

 なかなか歩みが進まないでいた。


 ああ、でも…

 なんだか、スカートって気持ちいいやぁ…

 このストッキングの締め付け感も気持ちいいやぁ…

 そして股間のスースー感にも慣れてきつつあったんだ。

 女の人って…

 こんな感じなんだぁ…

 そんな事を考え、想い浮かべていると、コンビニ前に到着した。


 ドキドキドキドキ…

 夕方6時…
 コンビニはまあまあ混んでいた。

 そして外から中を一瞥する。

 知っている顔は誰もいない…

 だが、高校生の男の子が数人いた。

 ああ、どうしよう…

 ドキドキドキドキドキドキドキドキ…

 急に高鳴り、心臓が飛び出しそうになってきていた。

 ケチャップを取って…

 下を向きながら急いでレジでお会計する…

 僕は脳裏で、必死にシミュレーションをする。


 ドキドキドキドキドキドキドキドキ…
 
「いらっしゃいませ…」

 そして…

 店内に入る…






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