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  バガテル第25番イ短調  (エリーゼのために)
第1章 エリーゼのために…
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「ただいま…」
 
「あ、駿お帰りぃ…
 どうだったぁ、初外出はぁ?…」

「うん、すごくドキドキしちゃった」


いや、初外出もなにも、女装さえも今日が初めてだったんだから…

「うふふ、かなり緊張と…」

 葵さんはそう呟き、そして思わせぶりな目をしながら、僕を見つめ…

「かなり…興奮もしたみたいね…」

「えっ…」

「ほら、シミになってるわよ」
 と、意地悪気な笑みを浮かべて囁いてきていた。

「えっ、あっ」

 そう、ちょうど股間に当たる部分がほんの少しだけ、小さなシミになっていたんだ…

 だけどスカートも黒っぽいし、本当に小さなシミだから、普通は気付かない筈なんだけど…

「だって…」
 
 わたしも初外出の時は…

 そうだったから…

「え…」

「すっごく緊張して…」
  
 そして…

 興奮して…

「わたしは少し昂ぶり過ぎて漏らしちゃったもん…」

 誰もさぁ、実際はさぁ、わたしの事なんかさぁ見てないんだけどぉ…

「周りの全てがわたしに注目し、注視している様に感じちゃってね…」


「あ…」

 僕と同じだ…

「もの凄い興奮のドキドキだったわ」

 正に、その通りであったんだ…

 正に葵さんの言う通り…

「うふ、濡らしちゃった…
 脱がないで大丈夫なの?」
 そう、意地悪で、揶揄い気味に囁いてきた。


「う、うん…」

 本当は…

 脱ぎたくは無かったんだ…

 まだ…

 女の子で居たかったんだ…

 だって…

 この女の子の姿が…

 スカートが…

 ストッキングが…

 快感だから…





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