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花狂い
第1章 プロローグ

務部長の板垣の 音頭で始まった 
高島修司の歓迎会も中盤になり 
思い思いのグループが でき始め
年配の 女将が宴席に 入って来た、 

総務の板垣が 赤ら顔で女将に

「  女将 ご苦労さん 」
声を掛けた

「 今日から 内の店に 配属に成った 」
「 課長の高島君だ 女将宜しく頼むね 」
高島も連られて 会釈をした

女将は 徳利を高島の猪口に注いだ 
地元の酒と聞いたが 少し辛口の酒が 
喉を通過していく

板垣と女将が 会話しているのを 
ぼんやり聞いていると 女将が高島に 話しかけてきた

「 お子様は ? 」

「 今年 中学生に成ります 」

「 お一人ですか ? 」

「 下に 女の子 五年生に成ります 」

「 ご家族で いらっしゃったの? 」

「 中学が 私立なので 私一人の赴任です 」

「 大変ですね 」
「 こちらは 食事も夜 お出ししてますので 」
「 是非とも おいで下さい 」

「 ありがとう ございます 」

女将が 高島の猪口に酒を注ぎ 
板垣に膝を変え 酒を注いだ
板垣が 

「 桜も見ごろを 向かえたな 」 
と つぶやいた

女将が 釣られて  

「 山が笑う季節に・・・・」 

「 この辺りでは 花の精が 取りつくと言われてます 」

「 男さんには 女 」

「 女子さんには 男が取りつくと 」

「 悪さは しません・・・」 

「 ただ・・・・ 」

「 ただ?・・・」 
板垣が聞き返した

「 ただ 男女の営みが 強くなるみたいです 」

板垣が 

「 私も年かな 最近弱くなって 」

「 取りついてもらいたいな 」
笑いながら酒を飲み干した

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