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花狂い
第5章 恵 2

8階から 中元担当の塩崎が 
高島を慌てた声で呼びに降りて来た 

8階の踊り場で お客様が転倒して
責任者を呼べと騒いでると

高島が向かうと 8階の踊り場に
中年のサラリーマン風の男性が立ち 
グレイのスーツの 膝に濡れたような跡が付き
高島が

「 何か? 」訊ねると

「 これ!!!」
とスラックスを指し 床を指した

床には 誰が溢したのか 
コーヒーの紙コップと水たまりが有り 
サラリーマンは 大きな声で騒ぎ始め

「 これから 仕事なのに どうしてくれる?」

高島が謝罪すると

「 謝罪は 良いからどう対処するの?」
猫がネズミを 甚振る様な目で
嵩に懸かった様に 大きな声で高島に詰め寄って来た

「 どうしました 」
野原が 屈強な部下を二人連れ
高島の下へと歩いて来て サラリーマンを一瞥した 

サラリーマンが 声をさらに上げ
「 もうすぐ 仕事に入らなければ 成らない 」

「 どうするの ?」
高島に詰め寄った 

野原が サラリーマンの傍により

「 申し訳ございません 」
と言いながら部下に目配せした

二人が サラリーマンの手を両側から掴む
屈強な男三人に囲まれ
怯みながらも 高島に大きな声でどうするのと言い続け 

野原が 低い声で

「 お客様 聞こえていますから 」

「 少し 静かにして呉れますか 」
と丁寧に サラリーマンを睨み 話掛けた

「 ここでは なんですから 」

「 事務所で対処しますので どうぞ 」
と丁寧に 言いながら部下の二人に手を押さえられ
引き連られていく 

 サラリーマンが 手を離させようと
 身じろぎするが 体格の良い有段者達に
 押さえられた手は外すことなど不可能だった 
 ひきずられながら サラリーマンが
 俺は何も 悪くないと騒ぎ

扉を開け 事務所に入ると
二名の部下は 扉の前に立った
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