この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
千一夜
第54章 第七夜 最終章 真空のゆらぎ
「都子はこう続けたわ『お父さんがピストルで自分の頭を撃とうとしてるところを私は見た。お父さんは私と京子をそのピストルで撃ってから自分も死ぬつもりなんだと思う。京子は死ぬのが嫌なんでしょ? だったら逃げて!今すぐ逃げて!』」
「それで京子ちゃん、君はどうしたんだ? 逃げたのか?」
「亮ちゃん、私のこと薄情な女だと思っている? 都子と私は一心同体よ。だから私は都子にこう言ったわ『一緒に逃げよう』とね」
「それで、それで都子ちゃんと君は一緒に逃げたのか?」
「……」
 沈黙……私の隣にいる菩薩様が目を閉じた。菩薩様の頬に一筋、二筋涙が流れる。
「……」
 涙を流す菩薩様に私は声を掛けられない。
「『私はお父さんと一緒に死ぬ。でもね、私が死んでも私は京子の中で生き続けることが出来る。だから心配しないで』そう都子は言ったの」
「……」
「まだ戸惑ってる私に都子は『早く逃げて!』そう言って追い立てたわ。体に力が入らないの。ようやく席を立って店を出ても、ふらふらしているだけ。全速力で走ろうとしても、思うように足が前に出ない。悲しくて悲しくて、とうとう涙が流れて、涙をぬぐいながら私は父から逃げた」
「……」
 そして京子は運よく登山者によって保護された。
「亮ちゃん、私が助けられた日の翌日の話なんだけど、何があったと思う?」
「お父さんと都子ちゃんの捜索のために警察や消防団から色々訊かれたんだろ?」
「確かにそう言うこともあったかな。でも警察は本気で父と都子を探す気なんてなかったと思の」
「どうしてそう思うんだ?」
「警察はね、翌日私の家に来たの。何十人もよ」
「何十人も?」
「何をしていたと思う?」
「捜索のために……いや、わからない」
「父が警察署から持ち出した拳銃を探していたの。その拳銃を都子は見た」
「あったのか?」
「ええ」
「良かったじゃないか」
「良かった? 冗談じゃないわ。拳銃が見つかったとき、捜査員の誰かが言った言葉に私は愕然としたわ」
「その捜査員は何と言ったんだ?」
「『助かった、これで首がつながる』父や都子よりも拳銃の方が大事なのよ、あの人たちにとって」
「……」
 拳銃を勝手に持ち出すことは許されない。問題はもし拳銃が見つからなかったら、保管管理の責任は京子の父の上司だけでは済まない。間違いなく署長、県警本部の誰かまで責任が追及されるはずだ。
/701ページ
※結果は非表示に設定されています
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ