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甘酸っぱい汗の香り
第1章 夏の終わり
【ヒロシ!良いタイム出てたじゃん!】 

【えっ、まぁ…千夏先輩も調子良さそうですね】 

千夏先輩は俺の2つ上の先輩で、高校の陸上部ではマドンナ的な存在だ。
ショートカットが似合うボーイッシュな感じで、校内や他校の生徒にも人気が高い存在だ。

【ヒロシっ、今日いつもの駄菓子屋寄って帰ろうよ】

【はっ、はい】

千夏先輩は何故か俺に優しくしてくれる事が多い…
平凡で特に取り柄もない俺になんで優しくしてくれるのだろうか、いつも疑問に思っていた…
部活が終わり、千夏先輩が自転車を押しながらやってきた…

【ヒロシっ、ゴメン待った?】

【いえっ、俺も今きたとこです…】

【じゃあ行こうか】

千夏先輩とこうやって二人で帰るのもあと少しか…
ずっとこんな感じで一緒に居れたらいいのに…
夏も終わり、秋を感じさせる少し冷たい風が、切なさを運んでくる…

【ねぇ、ヒロシは好きな子いるの?】

【えっ、いやっ、全然そんなの…】

千夏先輩は居るのか聞きたかったがそんな勇気は出ない…
噂ではキャプテンと付き合ってたとか聞いたことがある…

【そっかー…好きな子出来たら楽しいぞぉ\(^o^)/】

【ははは…】

千夏先輩のことが好きだとは、言えなかった…

(ガラガラ…)

いつもの駄菓子屋のドアを開ける。

【うまい棒はチーズ味しか勝たんよねー】

千夏先輩の子どもっぽいところが凄く好きだ…

【俺はめんたい派なんですよー…】

【ヒロシ〜、ケンカ売ってんのかー(^o^)あははっ】

本当にこんなじゃれ合いがいつまでも続けば良いと思う…

【じゃあ、おばちゃんまたねー!!】

(ガラガラ)

駄菓子屋を後にし、いつもの公園で駄菓子を食べる…
そしていつものように他愛も無い会話をして思いっきり笑って公園を後にしようとした…
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