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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第43章 傷痕

かつては、この場所にチェソクの書店もあった。今はもう建物そのものも壊されており、跡形もない。ボクスは懐かしむ想いで店の跡地を眺めた。
と、どこかでかすかに悲鳴らしきものが聞こえ、ボクスは振り返った。たまに野良の子猫が空き店に迷い込み、出られなくなることがある。今のは子猫だろう。そう思い行き過ぎようとした時、また悲鳴が聞こえた。
今度は先刻より、はっきりと聞こえた。間違いない。あれは猫ではなく人間、女の声だ。
彼は回れ右をして、声の聞こえた方へと走った。そこは大通りから脇に入る細い路地だ。
女を連れ込むにはおあつらえむきともいえる。案の定、路地には屈強な男に片腕を掴まれている女がいた。まだ若い娘である。
と、どこかでかすかに悲鳴らしきものが聞こえ、ボクスは振り返った。たまに野良の子猫が空き店に迷い込み、出られなくなることがある。今のは子猫だろう。そう思い行き過ぎようとした時、また悲鳴が聞こえた。
今度は先刻より、はっきりと聞こえた。間違いない。あれは猫ではなく人間、女の声だ。
彼は回れ右をして、声の聞こえた方へと走った。そこは大通りから脇に入る細い路地だ。
女を連れ込むにはおあつらえむきともいえる。案の定、路地には屈強な男に片腕を掴まれている女がいた。まだ若い娘である。

