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背徳のキス
第2章 1話目
“...ったく、毎度毎度うるさい....。”
一方、当の本人であるレヴァイアタンは、モグモグと獲物を咀嚼しながら顔を思いっきり顰めた。
水中だというのに、爆音のような黄色い歓声と、彼の熱狂的なファンなのか何なのか知らないが、「私も丸呑みしてーーーーーー!」という発狂に近い叫び声が彼の鼓膜を刺激する。
”いや、喰わねえし。
仕事の一つだからやってんだよ。
僕、そんな特殊性癖とか有りませんから。
凶暴な外見だからって、勘違いも甚だしいんだが?
他を当たれ、キチガイ共。“
再び顔を水面に出して、そう罵倒してやりたい所だったが、以前それを実行しようと顔を水面に出した所、更にドッと歓声が湧くのと同時に勢いよく海の中へ飛び込んできた死に急ぎ変態共が一定数いた為、即行で止めたのだ。
“何度も会議でこの処刑法廃止にしようって進言しても「盛り上がっているからいいだろう」ってサタンもベルゼブブも聞かねえし...。ふざけやがって。”
心の中でグチグチと愚痴を溢しながら、彼はマリアナ海溝のように非常に深い場所へと潜り続けると、銀河中心に存在するブラックホールのようなものを視界に捉える。
空間の歪みである。
彼は本来の巨大な姿から、一瞬にしてセミクジラの姿へと変わると、超大質量の黒い塊の中へ恐れなく飛び込んでいったのだった。