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背徳のキス
第2章 1話目
抜けるようなコバルトブルーの海に、突如ブラックホールのような球体が出現した。
それだけでも何事?と驚愕する事態だが、その中心部分から黒い尾鰭を靡かせて悠々と下界の海を泳ぐ鯨の姿が登場する。
“なんかヤバイ鯨が来たぜ!!
皆、逃げろ!!“
とでも言って、誰かが号令を掛けたのかと思う程、綺麗に小魚達の群れが一目散に逃げ出した。
“...あー...また避けられた。
別に何もしねえよ“
視界から小魚1匹すら見えなくなった静寂な深海を前に、レヴァイアタンは一人溜息を吐く。
彼が魔界から時空を超えて転移する度に、毎回これだ。
彼自身、下界の海洋生物達に危害を加えるつもりは一切無いのだが、皮肉な事にこの状況ではそれを伝える事すら出来そうに無い。
“まあ、僕の正体がバレなければどうだっていいけどさ。”
得体の知れない生き物認定されてしまう現実に若干傷つきながらも、彼は気持ちを切り替えると、目的地へと向かう。
その目的地とは、人魚達が棲まう美しき海底の城である。