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背徳のキス
第5章 4話目
「別に....。ただ折角、考えたのになって思っただけだから。」
するとレヴァイアタンは口をへの字に曲げて苦虫を潰したような顔をすると、俯いた。
そして無意識に彼は、厳重に保護魔法をかけたシェリーの絵を指先で何度も触れていた。
その一連の流れを目で追っていたラハブはニヤっと笑みを浮かべる。
「ああ、もしやお主、そのシェリーというマーメイドに失望されたくないのか?」
ラハブがそう言うと、レヴァイアタンは弾かれたように顔を上げる。そしてプイっと横を向くと、「.....そうですけど?」と無愛想に言い放った。
口では何も言わないが、彼はシェリーの事を大層気に入ってしまったようだ。
普通、気軽に友達になりたいと思った相手に、ガッカリされたくないなどとは思わないだろう。親友のようになりたいか、或いは友達以上の関係を築き上げたいか、そのどちらかだ。
「そうか...では、ワシの嘘は友好関係の形成と時間稼ぎに使えばよい。まあ言わずもがな、最初からそのつもりだったと思うがな。」
「時間稼ぎ?何のさ?」
「とぼけおって。そのマーメイドを惚れ落とす為の時間稼ぎよ。」
意地の悪い笑みを浮かべたラハブは事もなげにそう言い放った。文句を言いたげなレヴァイアタンが口を開く前に、ラハブは続けて開口する。
「さすればお主の憂いは晴れよう。恋は盲目じゃ。我らの“眷属契約”すら嬉々として受け入れてくれるかもしれんぞ?どうじゃ、レヴィア?」
怪しげに微笑んだルビーの瞳はレヴァイアタンの全てを見透かしているようだった。
彼はその瞳を睨み返すと、「そう簡単にいくかよ。」と投げやりに言い放ったのだった。