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禁愛
第10章 大阪…
栞奈は部屋を飛び出し、タクシーを拾おうとしていた。

その時…

「栞奈さん?」

後ろを振り返ると、コンビニの袋を持った美和が立っていた。

『今は、あなたの顔見たくないのに…』

「そうなさったんですか?」

「イエ・・・何でも…」

その様子から美和は喧嘩をしたのだとすぐに分かった。

「何かありました?私の事で喧嘩させちゃいました?」

「いえ…何でもないですから…」

美和は笑みを浮かべ…

「どうして私がそこに居たの?って思ってますよね…
 奥さまが来ることを知ってれば…スミマセン」

「いえ、大丈夫ですから…」

「彼氏が風邪を引いてるってなったら居てもたっても居られなくて…」

栞奈の表情が曇る…

「彼氏?」

「優、私を愛してくれたんです…優の背中にある傷…痛々しいですよね」

優には若い頃バイクで怪我をした時の傷があった…。

「えっ?」

美和は携帯を取り出し、一枚の写真を栞奈に見せた。

そこには信じられない光景が映っていた。

裸で優しい表情を浮かべて寝ている優の姿…。

「何これ…」

「こういう事です…フフフ。では気を付けて帰って下さいね
 優の看病はお任せ下さい。あぁ!離婚しろなんて言いませんから…」

そういうと、美和は言ってしまった。

何も考えられず…そこからしばらく動けなかった。

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