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私と彼らのヒミツな契約
第2章 迷子の羊

(ああっ、なんで財布なんか忘れてくるの!?)

いくらポケットを探っても、指に触れるのは携帯電話の固く冷たい感触だけだ。

(家に戻る?)

しかし、ひどく体力も神経もすり減るだろう。
それに途中で捕まれば今まで以上に監視がひどくなる。
ひょっとすれば、鉄格子を付けられてしまうかもしれない…
その光景を頭の中で描き、思わず背筋がぞっとした

「しょうがない…か。」

ダメ元で私は歩いてみる。
けれど歩けど歩けど、あるのは開店前のスーパーマーケットや小さな公園ばかりだ。

どんどん疲労が蓄積し、まぶたが重たくなってきた。
身体は冷えきって、なんだかふらふらする。
何回も立ち止まっては歩き、立ち止まっては歩きを繰り返した。
けれど、どんどん立ち止まる回数が多くなる。

「もう無理かも……」

思わず倒れこんだアスファルトは固く冷たい。

(やっぱり無理だったみたい。)

私は、あの家と忌々しい鎖で縛られているのだ。

まぶたが自然に落ちてくる。

それに身を任せたまま、私は暗闇に落ちていった。
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