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第1章 はじまり

今日は部活が休みの日。
正確に言えば、自主トレの日。
「はー、かったるーい。」
新名はぼやく。
「あー、やっぱり女子はほとんどいないか…」
先輩がぼやく。
「せめて1年はいるかと思ったが、仕方ないか。」
自主トレの日は、男子が女子を誘って同じメニューをすることが多い。
「よし、やるか。」
先輩の声かけで、筋トレが始まる。
「すいません、遅れました。」
その時、1年の女子が現れた。
「お、みんな来たか。あれ、桜井は？」
確かに、桜井さんがいない。
「えと、麻友は陸上部と外周走りに行っちゃいました…」
申し訳なさそうに須磨さんが言う。
「外周！？あいつバカか！？」
思わず新名が声を上げる。
「陸上部の子に誘われたみたいで…」
「まてまてまて、いや、自主トレだから何してもいいけど…まてまてまて…いやいや…」
先輩は気が動転しているようだ。
「須磨さん、外周ってあの10キロの？」
思わず聞いてしまった。
「あ、うん。そうだと思う。」
みんなが絶句した。
陸上部の冬メニュー、学校外周10キロマラソン。
陸上部員ですら1年は辛いと聞いているが…
「まあ、顧問の先生も知ってるだろうし、俺たちは俺たちでやろう。」
先輩の声かけにより、トレーニング再開となった。