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第5章 花びら

あなたの濡れた花びら。

ひと目を忍び、厳かに咲く一輪花。
決して陽に浴びる事はないのに枯れる事もない。
清らかな大地に根ざす気高い名花。

それは若草のほとりで、
陰雨のなかでも艶やかに咲き誇る。
妖花のごとく煌びやかに咲き誇る。

それは神々しく凛々と輝く。
しかし、そこに触れる事が許されるのは、
あなたに選ばれし者のみ。

今宵もあなたの花びらは濡れている。

[完]