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愛の詩
第8章 扉の向こう(其の1)
少し眠ってしまったらしい。

クラクラした頭で状況を整理するのに少し時間が掛かった。
そうだ、ここはあなたのマンションだ。
確か三人で楽しく飲んでいたはず。

部屋の灯は消され、豆電球しか点いていなかった。
テーブルの上にはさっきまで飲んでいたビール缶やつまみの袋が残っていた。
絨毯の上には脱ぎ捨てられたズボンや下着が散乱していた。

扉の向こう側で、二人の気配がした。
押し殺してはいるが、あなたと思われる息遣いも聞こえた。
隣室で行われている情事は容易に想像出来た。

あなたは清楚で純粋で汚れを知らない妖精と思っていた。
あいつに汚されていると思うと気が狂いそうになった。
あいつを親友だと思っていたこの僕が馬鹿だった。

僕はあなたのものと思われるパンティを拾った。
溢れ出る涙を、まだ温もりの残るそのパンティで拭った。
同時にあなたの匂いを感じた。とめどなく涙が込み上げた。

扉の向こうから聞こえる息遣いがしだいに大きくなってきた。
あなたの、小声ではあるが息詰まった「イク!イク!」という咽び泣きと、
肉と肉のぶつかり合う粘着質な音も漏れて来た。

二人の息の合ったリズミカルな音を聞いてるうちに、
僕は無意識のうちにズボンを脱いでいた。パンツも脱ぎ捨てると、
そそり立ったペニスにあなたのパンティを巻き付けた。

肌触りの良いシルクの生地が気持ち良かった。
その光沢ある生地の上からペニスをしごくと、すぐに達した。
快感と共に噴出した精液を、そのシルクの生地で受け止めた。

天井を見上げしばらく放心状態で余韻に浸った。
あなたのパンティは、僕の涙と精液でぐっしょりとなった。
これが夢であって欲しいと願った。

しかし、余韻に浸る間もなく、また扉の向こうから、
あなたの小さく押し殺した「イク!イク!」という肉声が漏れて来た。
僕は我慢出来なくなり扉をそっと開けた。

[つづく]
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