この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
君とメメント・モリ
第18章 死神の秘密
「最近反抗期で、私が何か言うとうるさいって言い返すのよ。実はね、昨日の晩も喧嘩になって、今朝も口をきいてないの。あなたが家であの子を迎えてくれたら、昨日のこともふっとぶはず・・・」


その時、対向車がいきなり反対車線に入り込んで正面から突進してきた。

重たい金属がぶつかり合う猛烈な破壊音のあと、アスファルトをひっかきながら鉄の塊はガードレールに突っ込んだ。

ひしゃげて車体の長さが半分ほどになった赤い車の中で、フロントガラスの破片を浴びて額を真っ赤な血で濡らした二人は、ゆらゆらと首を回して互いの安否を気遣うように向かい合った。

枝が折れるようなくぐもった不快な音が鳴り、不安定に女の頭がぐらりと揺れて肩から垂れ下がった。
血で赤黒く染まった顔の中で、二人は目だけをかっと見開いて見つめあっている。骨という骨が砕けているのに、まだ二人は死んでいなかった。

ボン、と間近で花火が炸裂するような音がして、車体が大きく跳ねた。後部座席に火が上がる。猛烈な高温のなか、二人は崩れて折り重なった。

「だめ、死んじゃダメ」
女の心の声がする。

「大丈夫か」
女に向かって男が叫んでいるが、熱を吸って焼けただれた喉からは、もう声が出ていない。

「二人とも、早く行こう」
翼は結界を目指し、二人を促した。

二人の魂を体から引きはがそうと強く念じるが、骨が砕け、皮膚と髪が焼けこげ始めても、二人は体から出ようとしなかった。
/294ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ