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幼遊戯
第1章 夏休み~夏海~
「気持ち……い……っ」

そして今思えば、私は私で目覚めてしまったのかもしれなかった。

奥底に眠るマゾな本能。

それは誰しもが少なからず持つものなのかもしれないけれど、ただその時の私と春樹は幼くて、自分たちでは気持ちに歯止めがかけられなくなっていた。

「下も触っていい?」

相変わらず両手で乳首を弄りながら春樹が私に尋ねる。

ぼーっとした頭では何も考えられなくて、私はただ頷くことしかできない。

春樹は私を確認するとショートパンツに手をかけた。
その時だった。

「春樹ー!夏海ちゃーん!ごはんよー!」

一階の春樹のお母さんの声に、私も春樹も一瞬で我にかえる。

急いで捲り上がったタンクトップを下ろすと

「はーい!今行きまーす!」

と声を返した。

「び、びっくりしたね」

何となく気まずくて私が慌てながらそう言うと、春樹も困ったような笑顔で「だよなー」と返してくれた。

お互いにさっきまでの行為には触れず、まるで何もなかったかのように振る舞いながらも、頭の中ではぐるぐると今までの行為が駆け巡る。

そしてこの後の夏休みの間、私が春樹の部屋を訪れることはなかった。



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