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狙われた美人妻〜魔辱の姦計
第5章 仕組まれた罠
「そんな…昨日の話しと違うわ!あなたに責任は無いみたいな言い方をしていたじゃない!?」

 夫の話を聴き終えた志津香が思わず叫んだ。部長の下島も取引先の鮫島という男も、隼人をかばうような態度を示していたのに、この冷酷な仕打ちはどういうことなのか。それを聞いた夫は、

「僕も驚いたよ。なにかの間違いじゃないかって」

 暗い目でぽつりと言った。

 隼人の直属の上司である加山も驚いたらしい。下島を懸命に取りなしてくれた。しかし…隼人を処罰するという下島の意思は覆らなかった。ショックを受けた夫は仕事を放り出して帰って来てしまった。

(彼が首になったら困る。買ったばかりのマンションのローンもあるし、子どももはまだまだ小さい。すぐに再就職できればいいけど)

 志津香が心配したのは経済的なものだった。安定した生活を約束されていたはずなのに、それが崩れてしまうかもしれないという恐怖だ。

 夫婦のあいだに重い沈黙が降りた。先に口を開いたのは夫だった。

「下島部長へ会いに行こうと思う。これからご自宅へ伺って、直接に会って謝ってみる。昨日は関係のない君ばかりに気を使わせてしまって悪かった。ごめんよ志津香」
「そんな…」
 
 夫を責めようとしていた気持ちはどこかへ消えてしまった。"首になってしまったらこれからの生活はどうするの"と言おうしていた矢先だった。夫を労わる感情が込み上げてきた彼女は、しかしすぐに狼狽えてしまう。その理由は、

「だから君も一緒に下島部長の家に行って欲しいんだ」

 すがるような目をした夫に、頼むお願いだからと、せがまれたからである。
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