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狙われた美人妻〜魔辱の姦計
第3章 よみがえる過去
「それであなた…なにがあったの?」
「…ああ」
「僕から説明しましょう。我々が乗っていたワンボックス車がガードレールに接触したんです」
まともに話せない夫を見かねたらしい。加山が喋り始めた。
「高速から下道に降りて、しばらく経った頃でした。運転していたご主人が、どうやら居眠りをしたらしい」
「そんな…」
「今日は暑かったですからね。彼もきっと疲れていたのでしょう」
「も、申し訳ございません」
(夫のせいで…)
動揺した志津香がまた頭を下げた。
「まあ、幸いにして大事故にはならなかったので。ただ…取引先の人たちに怪我を負わせてしまったのがちょっとね」
「…」
何も言わない夫に苛立ちを覚えながら、無言で頭を下げる。謝罪するしかない。
「それで警察は?」
「事情聴取を終えて帰ったところです」
「そうですか」
夫は罪に問われるのだろうか。
事故を起こしたのだから、お咎め無しとは行かないだろう。
「それで、ほかの方は?」
「今、治療を受けています。下島部長が、足の骨にヒビが入ったぐらいで、重傷を負った人間はいませんからご安心ください。奥さん」
下島という名前を聞いた志津香の顔がかすかに歪む。
「あ、来ました。治療が終わったようです」
加山の視線の先に、こちらへやって来る三人の男たちがいた。松葉杖をついているのは下島だ。顔を見るのは久しぶりだが間違いない。
あとの二人が取引先の人物なのだろう。そのうちの一人に志津香は見覚えがあった。それが誰なのかわかった瞬間、志津香はその場に硬直した。
どうして…あなたが。
背の高い男だった。百八十センチ以上はある。引き締まった体格の、下島や加山に比べたら若い男性だ。夫と同じぐらいの歳に見えた。
冷たい印象の整った顔に、細い銀色のフレームのメガネをかけている。メガネの奥のその目が志津香を見ている。その視線に射すくめられた彼女は、蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった。
その男の名は氷川明。志津香が大学生の頃に付き合っていた、かつての恋人だった。
「…ああ」
「僕から説明しましょう。我々が乗っていたワンボックス車がガードレールに接触したんです」
まともに話せない夫を見かねたらしい。加山が喋り始めた。
「高速から下道に降りて、しばらく経った頃でした。運転していたご主人が、どうやら居眠りをしたらしい」
「そんな…」
「今日は暑かったですからね。彼もきっと疲れていたのでしょう」
「も、申し訳ございません」
(夫のせいで…)
動揺した志津香がまた頭を下げた。
「まあ、幸いにして大事故にはならなかったので。ただ…取引先の人たちに怪我を負わせてしまったのがちょっとね」
「…」
何も言わない夫に苛立ちを覚えながら、無言で頭を下げる。謝罪するしかない。
「それで警察は?」
「事情聴取を終えて帰ったところです」
「そうですか」
夫は罪に問われるのだろうか。
事故を起こしたのだから、お咎め無しとは行かないだろう。
「それで、ほかの方は?」
「今、治療を受けています。下島部長が、足の骨にヒビが入ったぐらいで、重傷を負った人間はいませんからご安心ください。奥さん」
下島という名前を聞いた志津香の顔がかすかに歪む。
「あ、来ました。治療が終わったようです」
加山の視線の先に、こちらへやって来る三人の男たちがいた。松葉杖をついているのは下島だ。顔を見るのは久しぶりだが間違いない。
あとの二人が取引先の人物なのだろう。そのうちの一人に志津香は見覚えがあった。それが誰なのかわかった瞬間、志津香はその場に硬直した。
どうして…あなたが。
背の高い男だった。百八十センチ以上はある。引き締まった体格の、下島や加山に比べたら若い男性だ。夫と同じぐらいの歳に見えた。
冷たい印象の整った顔に、細い銀色のフレームのメガネをかけている。メガネの奥のその目が志津香を見ている。その視線に射すくめられた彼女は、蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった。
その男の名は氷川明。志津香が大学生の頃に付き合っていた、かつての恋人だった。