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ネコの運ぶ夢
第5章 ネコの名前
「いっちのっせさーん!朝ですよー♪」
弾むような音子の声。朝が来たようだ。
ゆっくりと意識が夢から浮かび上がり、目が覚める。
右腕がじんわり痺れているのは、おそらく30分ほど前まで音子の頭がそこにあったからだろう。そもそも、腕枕っていうのは一晩中やるものではない気がする。
今日は朝食を音子が作る日だ。少し早めに起きて準備をし、出来上がるとこうして起こしてくれる。
10年来、一人暮らしをしていた身としては、こうして朝誰かに起こしてもらうことが存外嬉しい。
あくびをしつつ、眠い目をこすりながら、食卓を見る。お、今朝は洋食か。
ざく切りのトマトが入ったスープ
オムレツ
レタスにジャーマンポテトを少しだけ
添えられているのはアイスティーだろうか
「さあ!お座りください!」
俺は顔を洗って席につく。
部屋着にエプロン姿の音子がトーストを持ってくる。
トーストに、チョコペンで可愛らしい猫の顔のイラストが描いてある。
「おぉ!すごいな、ネコの絵か・・・」
そう言って顔をあげると、音子が無性に嬉しそうな顔をしている。それを見て、ハッと気づく。まさか・・・
「『音子』って、言ってくれました!」
へへへーと無邪気に音子は喜ぶ。
その表情に不覚にもどきりとしてしまう。名前を呼ばれたのがそんなに嬉しいのか。
待て、落ち着け、俺。バレないように、深呼吸を2〜3回する。
いかん、ちょっと、名前を呼んでやっても良いかもとか思いそうになった。
弾むような音子の声。朝が来たようだ。
ゆっくりと意識が夢から浮かび上がり、目が覚める。
右腕がじんわり痺れているのは、おそらく30分ほど前まで音子の頭がそこにあったからだろう。そもそも、腕枕っていうのは一晩中やるものではない気がする。
今日は朝食を音子が作る日だ。少し早めに起きて準備をし、出来上がるとこうして起こしてくれる。
10年来、一人暮らしをしていた身としては、こうして朝誰かに起こしてもらうことが存外嬉しい。
あくびをしつつ、眠い目をこすりながら、食卓を見る。お、今朝は洋食か。
ざく切りのトマトが入ったスープ
オムレツ
レタスにジャーマンポテトを少しだけ
添えられているのはアイスティーだろうか
「さあ!お座りください!」
俺は顔を洗って席につく。
部屋着にエプロン姿の音子がトーストを持ってくる。
トーストに、チョコペンで可愛らしい猫の顔のイラストが描いてある。
「おぉ!すごいな、ネコの絵か・・・」
そう言って顔をあげると、音子が無性に嬉しそうな顔をしている。それを見て、ハッと気づく。まさか・・・
「『音子』って、言ってくれました!」
へへへーと無邪気に音子は喜ぶ。
その表情に不覚にもどきりとしてしまう。名前を呼ばれたのがそんなに嬉しいのか。
待て、落ち着け、俺。バレないように、深呼吸を2〜3回する。
いかん、ちょっと、名前を呼んでやっても良いかもとか思いそうになった。