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ネコの運ぶ夢
第8章 ネコは残業を待てない
まずくないか?これ・・・。

一瞬、そういった思いが頭をよぎるが、そんなこと言ってる場合じゃない。
俺は思い切って、音子のワンピースを脱がせ、下着も脱がせる。

こいつ、意外と着痩せするタイプ・・・。
バカ、バカ・・・何考えてるんだ、俺。

腰が立たない音子を、抱えあげるように風呂場に入れる。一人暮らしの狭い風呂場だ。風呂椅子に座らせ、洗面器に風呂のお湯を汲む。少し水を入れ、ぬるま湯にする。

急に温めると良くない気がする。

ぬるくしたお湯を少しずつ音子の身体にかけていく。
一応、背中の方にいるから、胸などは目に入ってはいないが、なめらかな音子の身体をお湯が流れ落ちる様はかなり艶めかしい。

心を無にしてお湯をかけ続ける。
気分は禅僧だ。

大分温まったと思うが、どうだろう?
「音子・・・風呂に入れそうか?」
尋ねると、音子は頷く。よし、よかった。
「じゃあ、ゆっくり入って。俺は、あっちで待ってるから」
風呂場を出ようとすると、ギュッと服の裾を掴まれた。
「ここに・・・いてください・・・」

なんですと!?

「すいません・・・今日だけ、このあとはわがままいいませんから・・・私の側にいてください・・・」

まだ、ガタガタと肩が震えているのを見て、俺は観念した。
どうせ、俺の服は、この時点でびしょ濡れだ。風呂の戸を開けたまま、戸口に腰を下ろす。一応、音子が風呂に入るために立ち上がったときは目を閉じた。

そのまま、音子は20分ほども風呂に浸かり続けた。
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