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ネコの運ぶ夢
第11章 消えたネコ
ふたりともシャワーを浴び終わると、先に出てテレビを見ている俺の横にピッタリと音子が貼りつていくる。最初は風呂上がりの匂いにかなり動揺し、「距離を取れ」だの「くっつくな」だの言っていたが、今ではそのままにさせている。

慣れた、というより、はっきり言って、ちょっと嬉しい。

特に大した番組がやってるわけではないが、二人でぼんやりテレビを見たり、なにかの拍子に一緒に笑ったりする時間はとても安らぐ。時折、音子が俺の肩に頭を擦り付けてくる。それが、また、愛おしい。

そろそろ寝る時間だ、ということで、布団を敷く。この時間になると、音子は本当に楽しそうだ。俺が先に横たわると、腕をよいしょと引き伸ばし、頭を乗せる。
2〜3回グリグリと腕に額や頬をこすりつける。いつもの音子だ。

消灯

大体、彼女はすぐに眠りにつく。たまに寝付けないことがあるときには話しかけてくることもある。今日は、眠れないパターンのようだ。

「あの・・・市ノ瀬さん」
俺の方に身体を向けて神妙な声で言う。まだ闇に目が慣れていないので、どんな顔をしているかわからないが、じっとこちらを見つめている気配がする。

「音子を・・・」
言いかけたまま、じっと押し黙る。なんだ?気になるぞ。
そのまま額を俺の胸元に寄せると、少しだけ押し付けてきた。

「ごめんなさい・・・なんでもないです・・・」
その日は、ちょっとだけ、いつもより近い位置で音子は眠りについた。
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