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トライ アゲイン
第3章 心だけタイムスリップ

「ねえ…やっぱり出勤するの?」

ラブホテルで朝を迎え
もっと小向に抱かれて微睡(まどろ)みたい安祐美と違って
仕事人間の小向はベッドを抜け出して身支度を整え始める。

「今日は朝から会議があるって君も知ってるだろ?
休むわけにはいかないよ
それに君も会社に退職願いを出さないといけないだろ?」

「そうね…じゃあ、私も頑張って出勤するわ」

昨日と同じ服装…
これだと二人でお泊まりデートをしたのがバレバレだ。
おまけにブラウスから覗く安祐美のデコルテには
小向が付けたキスマークが生々しい。

「私たち、デキちゃったのバレバレね」

「かまうもんか
お前と結婚するつもりなんだし」

『えっ?今なんて言ったの?』

交差点を渡っている途中で
シラっとそんなことを言われたものだから
あまりの驚きのために安祐美の足が止まってしまう。
そのタイミングで歩行者用の信号が点滅し始めた。

小向は、すぐ後ろを安祐美が歩いてきているものだと信じきって、一人でさっさと交差点を渡ってしまっていた。
安祐美の足音がしないものだから
不思議に思って小向は後ろを振り返った。
そこには交差点の真ん中で呆然と立ち尽くす安祐美の姿が…

「おいバカ!何やってんだよ!」

小向の声にハッと我に返った安祐美だったが
一台の車が彼女に向かって突進してきた。

キキキー!!

急ブレーキの音がしたが、
車は彼女を回避できずに、撥ね飛ばされた。

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