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トライ アゲイン
第3章 心だけタイムスリップ

救急病院に担ぎ込まれて応急措置が施される。

数時間後には包帯だらけの安祐美はベッドに横たわっていた。
連絡を受けて実家の両親が病院に駆けつけてきた。

「すいません!僕が付いていながら…」

ご両親が見えられましたよと看護師から引き合わされた小向は深々と頭を下げた。

「あの…失礼ですが、あなたは?」

安祐美の父親である飯島太郎が怪訝そうに小向に正体を尋ねる。

「申し遅れました…
私は安祐美…さんの同僚で小向と申します
彼女と一緒に出勤する途中で事故にあわれて」

「それで、それで安祐美の様態は?」

「それは今から先生が説明されるようなので
どうぞ、こちらへ」

両親は看護師に促されて
小さな小部屋に案内された。
そこは手術の事や病状について説明を受けるカンファレンス室なのだろう。

「先生!娘の安祐美の容態はどうなんですか?」

着席を促されても
それを無視して父親の太郎は医師に掴みかからんばりに詰め寄った。

「まあまあ、お父さん、そう焦らないで」

呑気な口調の医師に母親の由美子さえも苛立ちを覚えた。

「そうですね…まあ、交通事故ですから
数ヵ所の骨折は認められます」

テレビのモニター画面に安祐美のレントゲン写真が写し出される。

「でもね…いずれも軽い骨折です
まあ、咄嗟に身を避けようとしたか
受け身が上手だったのでしょう
打ち身はあるでしょうけれども脳にも内蔵にも損傷は見られません
まあ、今はショックがあろうかと思うので鎮静剤で眠らせてますがそのうち目を覚ますでしょう」

とりあえず、今夜だけICUで様子を見ましょう

穏やかに話す医者の口調から
それが両親を安心させるためのものでなくて
本当に軽い骨折程度で済んだのだと両親を安心させた。

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