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誰にも言えない!
第4章 自分に嘘をついて…
「お、おう」
よしくんは少し驚きながら
勉強している手を止め
私について教室を出る
「ごめんね、勉強中に邪魔しちゃって」
隣のよしくんを見上げながら声をかける
「いや、いいよ
集中できてなかったし」
よしくんは笑顔で答えた
中庭に向かおうと階段を降りる
すると…
「おー芳樹、と
竹内・・・」
よしくんの方を見て話しながら階段を降りていると
聞き覚えのある声がして体がそれに反応する
「あ、緒方先生
この後数学教えてもらっていいですか?」
よしくんが笑顔で話をする相手は
緒方先生だ
(会いたくなかった…)
「あ、ああ、いいよ
じゃあいつものとこにいるから」
緒方先生も私と同じように
戸惑って見えた
(いつものところって、
きっと演習室なんだろうな)
思い出して少し切ない気持ちになる
「じゃあ、職員室のとこに居ますね」
(きっとそこから一緒に演習室に向かうんだよね…
だめだめ、考えないって決めたのに)
自分の決意が早くも揺らいでいた
「じゃあまた後で」
そう言って先生が階段を登っていくのに気づかずに
私は呆然としていた
私に注がれる先生の切なそうな視線にすらも気づかずに…