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彼女はボクに発情しない
第22章 陽気な家族のための小舞曲
「なんだ!?陽太と勉強?お前たち付き合ってるのか!?」
てらいもなく大声で言うものだから、顔が赤くなってしまう。
陽太も勢いに気圧されているようだ。

「いいえ。まだ、お付き合いしていないんですよー。この二人」
八知おばさまが更に追い打ちをかける。やめて、やめて、恥ずかしいよぉ。
「がははは!なんだ、陽太!こんな可愛い娘、他にいないぞ!取られちゃうぞ」
バンバンと今度は陽太の背中を叩く。突然の刺激に陽太が咳き込む。

「まあ、どっちかと言うと、奏ちゃんがリードする方かな?
 おお!憶えているか?二人を連れてキャンプ行ったことがあっただろう?」
「憶えていますよ、兄さん」
「あん時、二人して木登りして、奏ちゃんは降りられたけど、陽太は降りられなくてな。それで飛び降りて、足骨折したんだよな。がはははは!」
「それで、慌ててキャンプ切り上げて帰ってきましたね、そういえば」
「奏ちゃんが、泣きながら訴えにきてくれたから良かったものの、なあ。え?今日も宿題を手伝ってもらってる?こりゃ、姉さん女房だね、奏ちゃんは」
そうして、またガハハハと笑う。私は更に顔を赤くすることになる。

「もしよかったら、お夕飯一緒に食べません?」
八知おばさまが誘ってくれた。この様子じゃ、今日はもう合宿は無理かもしれない。とりあえず折角のお誘いなので、夕飯はご一緒しましょうか。
伯父さんが来るからだろうか、夕飯は昼より更に豪華だった。

クラッカーの上に生ハムや刻んだチーズ、トマトなどをのせたオードブルに始まり、唐揚げ、エビフライ、サラダ、それから野菜のディップやカルパッチョ、グラタンまである。
おばさま、何品作ったの!?

まるでホームパーティーだ。高山家の皆は本当によく話す。特に、陽太のお父さんの喬さん、正美さんはお酒のせいでより口が滑らかなようだ。お酒は正美さんがアメリカ土産として持ってきたウィスキーやラム酒、甘めのカクテルのようなものもあるみたいだった。よく見ると、八知おばさまも頬が赤くなっているので、ちょっと飲んでいるようだ。
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