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彼女はボクに発情しない
第22章 陽気な家族のための小舞曲
☆☆☆
「ようた〜だいじょうぶ?」
樹の上でガタガタと震えている陽太に私は何度も声をかける。私よりも高いところまで昇って、降りることができなくなってしまったのだ。
助けに行ったとして、私も自分一人なら降りることができるかもしれないが、陽太を降ろしてあげることはできない。
そもそも、競争しようって言ったのは陽太なんだけど・・・。
「ボク、木登りだったらきっと奏に勝てると思う!」
なんて言って、確かに登るのは早かったし、すごく上まで行ったけど、まさか降りられなくなるとは・・・。
困ったなあ・・・。
見上げながら私は思った。陽太がいるところは結構高い。あそこから落ちたら大怪我しちゃうかも。
おじさんたちを呼んでこようか・・・。
そう思ったとき、カサっと足元の草むらが鳴る音が聞こえた。
なんだろう、と思ってみると、ニュルリと草むらからヘビが這い出した。
私は思わず悲鳴を上げる。
「奏!!!」
陽太の声とともに、ドスン!というものすごい音がした。その音でびっくりしたのか、ヘビは出てきたときと同じようにニュルンと草むらに引っ込んでいった。
よかったぁ・・・。
私は胸をなでおろす。
今の音、なんだろう?
振り返ると、陽太が足を抱え、顔を真赤にしつつうめいていた。
「よ・・・陽太!?」
駆け寄ると、陽太は転がりながらも唇を食いしばって涙目で痛みに耐えていた。
「か・・・がなで・・・へびは・・・?」
自分が超痛そうなのに、私の心配をしている。
「ヘビ・・・行っちゃった。だから、大丈夫」
「が・・・がまれでない?」
「うん、大丈夫・・・陽太は?」
「へ・・・へいぎ・・・」
じわっと目尻に涙が浮かんでいるので、とてもじゃないけど平気だとは思えなかった。私はとにかく助けを呼ばなきゃと、走り出した。
「ようた〜だいじょうぶ?」
樹の上でガタガタと震えている陽太に私は何度も声をかける。私よりも高いところまで昇って、降りることができなくなってしまったのだ。
助けに行ったとして、私も自分一人なら降りることができるかもしれないが、陽太を降ろしてあげることはできない。
そもそも、競争しようって言ったのは陽太なんだけど・・・。
「ボク、木登りだったらきっと奏に勝てると思う!」
なんて言って、確かに登るのは早かったし、すごく上まで行ったけど、まさか降りられなくなるとは・・・。
困ったなあ・・・。
見上げながら私は思った。陽太がいるところは結構高い。あそこから落ちたら大怪我しちゃうかも。
おじさんたちを呼んでこようか・・・。
そう思ったとき、カサっと足元の草むらが鳴る音が聞こえた。
なんだろう、と思ってみると、ニュルリと草むらからヘビが這い出した。
私は思わず悲鳴を上げる。
「奏!!!」
陽太の声とともに、ドスン!というものすごい音がした。その音でびっくりしたのか、ヘビは出てきたときと同じようにニュルンと草むらに引っ込んでいった。
よかったぁ・・・。
私は胸をなでおろす。
今の音、なんだろう?
振り返ると、陽太が足を抱え、顔を真赤にしつつうめいていた。
「よ・・・陽太!?」
駆け寄ると、陽太は転がりながらも唇を食いしばって涙目で痛みに耐えていた。
「か・・・がなで・・・へびは・・・?」
自分が超痛そうなのに、私の心配をしている。
「ヘビ・・・行っちゃった。だから、大丈夫」
「が・・・がまれでない?」
「うん、大丈夫・・・陽太は?」
「へ・・・へいぎ・・・」
じわっと目尻に涙が浮かんでいるので、とてもじゃないけど平気だとは思えなかった。私はとにかく助けを呼ばなきゃと、走り出した。