この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
彼女はボクに発情しない
第23章 物想う秋への間奏曲
でも、今日は後数時間に嫌でも同じ教室で顔を合わせることになる。
陽太くんにどんな顔で会えばいいんだろう。
陽太くんと奏ちゃんは、どんな風になっているのだろう。
奏ちゃんは『キスしてもらえなかった』と言っていたけど、ふたりの関係が進展してしまったのは必至だ。
あーあ、あんな勝負、持ちかけなければよかった。
一応ルリには事の次第は話していた。そして、彼女からは『べっつに振られたわけじゃないんでしょ』という、至極ルリらしい回答を得ていた。
「忘れられる・・・?」
ちょっと口に出してみる。言葉にすると、それは金属のようにとても冷たくて無機質に響いた。ゴツゴツとしたその塊は、喉につかえて、とてもじゃないけど飲み下すことなどできない。
私の姿を見て、『素敵』と言ってくれた。
手を繋いで、一緒に歩いてくれた。
空を見上げる横顔。意外に長いまつげにドキッとした。
そして、抱きしめてくれた。
思い出が増えていく。増えた思い出は、忘れられない大事な気持ちになって、雪のように積もっていく。
この暑い夏、雪のように、静かに、静かに私の心を満たしていく。
そんな事を考えているうちに、また5分間、彼と会う時が近づいてきてしまった。
私の心は何一つ整理されていない。
教室で、たまに二人が目配せをし合っているのに、実は私は気づいていた。
今日行ったとき、もしそうされたとしたら、私の心はもつだろうか?
笑っていられるだろうか?
先にも進めない、あとに戻ることもできない。
こんな、こんなにも苦しい気持ちに人は『恋』などという名をつけているのだろうか。
今の私のこの気持ちには、こんな可愛らしい名前は、ふさわしくないように思える。
恋という言葉を考えた人への苦情の言葉を考えていたら、また5分、彼と合うまでの時間が近づいてしまっていた。
陽太くんにどんな顔で会えばいいんだろう。
陽太くんと奏ちゃんは、どんな風になっているのだろう。
奏ちゃんは『キスしてもらえなかった』と言っていたけど、ふたりの関係が進展してしまったのは必至だ。
あーあ、あんな勝負、持ちかけなければよかった。
一応ルリには事の次第は話していた。そして、彼女からは『べっつに振られたわけじゃないんでしょ』という、至極ルリらしい回答を得ていた。
「忘れられる・・・?」
ちょっと口に出してみる。言葉にすると、それは金属のようにとても冷たくて無機質に響いた。ゴツゴツとしたその塊は、喉につかえて、とてもじゃないけど飲み下すことなどできない。
私の姿を見て、『素敵』と言ってくれた。
手を繋いで、一緒に歩いてくれた。
空を見上げる横顔。意外に長いまつげにドキッとした。
そして、抱きしめてくれた。
思い出が増えていく。増えた思い出は、忘れられない大事な気持ちになって、雪のように積もっていく。
この暑い夏、雪のように、静かに、静かに私の心を満たしていく。
そんな事を考えているうちに、また5分間、彼と会う時が近づいてきてしまった。
私の心は何一つ整理されていない。
教室で、たまに二人が目配せをし合っているのに、実は私は気づいていた。
今日行ったとき、もしそうされたとしたら、私の心はもつだろうか?
笑っていられるだろうか?
先にも進めない、あとに戻ることもできない。
こんな、こんなにも苦しい気持ちに人は『恋』などという名をつけているのだろうか。
今の私のこの気持ちには、こんな可愛らしい名前は、ふさわしくないように思える。
恋という言葉を考えた人への苦情の言葉を考えていたら、また5分、彼と合うまでの時間が近づいてしまっていた。