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彼女はボクに発情しない
第25章 波乱の奇想曲
☆☆☆
「お・・・お久しぶりです、お兄さん」
はあ?と冷たい目線をボクにくれる。顔がいいだけに、その視線がなおさら突き刺さる。
「君にお兄さん呼ばわりされる筋合いないんだけど」
「ちょ・・・お兄ちゃん」
奏が慌てて割って入ってくれる。いつもこの兄はそうだ。ボクを目の敵にしてくる。
「奏ぇ〜!お兄ちゃん帰ってきたよ〜♡一緒に帰ろう!」
奏が声をかけると、目尻を下げて猫なで声に早変わりだ。この不気味なシスコン具合も6年前と全く変わってない。
ボクの方をきっとにらみつける。よくそんなに表情変えられるな。お前。
ぽんとボロボロの紙袋を投げて寄越したので、思わず受け取ってしまう。
「ほら、お前にも土産を買ってきてやったぞ」
奏の方を向く。
「奏と〜それから、お隣の風香ちゃん?だっけ?には、あとで渡すね♪いっぱいあるから持ってこれなかったんだ〜」
声が違う、顔つきが違う、言ってる内容が全く違う。

一応、礼儀だろうと思って開けてみた。紙袋の中には雑に黒いTシャツが入っていた。取り出して広げてみると、前の方に大きな縦書きで「肉と米」と書かれていた。もちろん漢字だ。いつ着るんだよ、これ。

ボクがあまりにも微妙な顔をしたためだろう、吐き捨てるように響が言った。
「ああ、それな。ニューヨーク土産だぞ。ありがたいと思え。」
ニューヨークでこれを見つけるほうが難しいのではないだろうか?
それに・・・
「響さん、イギリスに留学してましたよね?」
「そうだが?なにか問題があるか?」
なぜ、わざわざニューヨーク土産を・・・。2段階にも3段階にも嫌がらせをしてくる。

「さあ!お兄ちゃんと帰ろう!」
殺されたくなきゃ、ついてくんじゃねぇとボクをにらみつけるのも忘れなかった。さっさと奏の手を引いて連れて行ってしまう。奏は右手を引っ張られながらもボクの方を振り返り、左手で『ごめん』のポーズをした。

あんの野郎!
さすがに割って入るわけにもいかず、ボクはそんな奏たちを立ち尽くしたまま見送った。
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