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彼女はボクに発情しない
第25章 波乱の奇想曲
【Turbulent Capricio】
「奏!奏!」
校門から見えないように、昇降口の柱の陰から奏に小声で呼びかける。ちょっとあたりを見回すと、程なくしてボクを見つけてくれた。
「陽太?な・・・何しているの?」
なんか顔が赤いような気がするが、気のせいだろうか?まあ、いいや。とにかく今は緊急事態を伝えなければいけない。
「響が・・・響が校門のところに来てる」
ボクが言ったことがよほど衝撃だったのだろう、奏も目を見開く。
「お兄ちゃん!?え・・・だって・・・私、そんなこと一言も・・・。」
聞いていないのだろう。まあ、ボクが奏の両親でもそうするかもしれない。たとえ事前に帰るよと連絡があっても、言いにくい。
「とにかく、こっちから、こっそり出よう。表門の方に陣取っているから」
ボクは奏の手を引く。どうせ同じ家に帰るのだが、少しでも会うのが遅いほうがいいだろう。その判断が間違っていない証拠に、奏も大人しくついてくる。
ボクらは表門とは校舎を挟んで反対にある、普段余り使う人がいない裏門に回った。こっちから出れば、少なくとも帰り道を一緒に過ごさなくても済む。
ああ、よかった。
ホッと息をついた。
「あ・・・あの・・・陽太?」
奏が遠慮がちに声をかけてくるので振り返ると、ボクがギュッと掴んでいる手を見て、目で訴えてくる。
「ご・・・ごめん」
ぱっと手を離した。危険に直面していたので、つい・・・。
「まあ、とにかく、あいつにばったり会わないうちに、さっさと帰ろう」
「わ・・・わかったわ」
そう言いあいながら、裏門を出た矢先、横から声をかけられた。
「誰に会わないうちにって?」
ギギギ、っと二人で声がした方を見る。そこに、四宮響、奏の兄が仁王立ちしていた。
「奏!奏!」
校門から見えないように、昇降口の柱の陰から奏に小声で呼びかける。ちょっとあたりを見回すと、程なくしてボクを見つけてくれた。
「陽太?な・・・何しているの?」
なんか顔が赤いような気がするが、気のせいだろうか?まあ、いいや。とにかく今は緊急事態を伝えなければいけない。
「響が・・・響が校門のところに来てる」
ボクが言ったことがよほど衝撃だったのだろう、奏も目を見開く。
「お兄ちゃん!?え・・・だって・・・私、そんなこと一言も・・・。」
聞いていないのだろう。まあ、ボクが奏の両親でもそうするかもしれない。たとえ事前に帰るよと連絡があっても、言いにくい。
「とにかく、こっちから、こっそり出よう。表門の方に陣取っているから」
ボクは奏の手を引く。どうせ同じ家に帰るのだが、少しでも会うのが遅いほうがいいだろう。その判断が間違っていない証拠に、奏も大人しくついてくる。
ボクらは表門とは校舎を挟んで反対にある、普段余り使う人がいない裏門に回った。こっちから出れば、少なくとも帰り道を一緒に過ごさなくても済む。
ああ、よかった。
ホッと息をついた。
「あ・・・あの・・・陽太?」
奏が遠慮がちに声をかけてくるので振り返ると、ボクがギュッと掴んでいる手を見て、目で訴えてくる。
「ご・・・ごめん」
ぱっと手を離した。危険に直面していたので、つい・・・。
「まあ、とにかく、あいつにばったり会わないうちに、さっさと帰ろう」
「わ・・・わかったわ」
そう言いあいながら、裏門を出た矢先、横から声をかけられた。
「誰に会わないうちにって?」
ギギギ、っと二人で声がした方を見る。そこに、四宮響、奏の兄が仁王立ちしていた。