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彼女はボクに発情しない
第25章 波乱の奇想曲
もちろん、ボクが性処理をしていることがわかったときの爆発ぶりはとんでもないことだった。金属バットを振り回し、追いかけられた回数は片手では足りない。高校生である響が小学生のボクに向かってフルスイングした金属バットが耳元をかすめた恐怖は未だに忘れることができない。ボクの足が早いのは、奏を助けるためが半分だが、もう半分は、響に追いかけ回されて命からがら逃げ惑ったことにも由来すると固く信じている。
『このままじゃまずい』
放っておけば、響が犯罪に手を染めるのは、秒単位で時間の問題だった。奏の両親は彼を物理的に奏から引き離すしかないと結論した。
そこで彼にぬかづき、こう頼んだという。
『お前しか奏を治せるやつはいない。海外に留学し早く医者になって奏を治してくれ』
実際、響はIQ160の天才であり、すでに中学3年にして、日本の大学、ついでにアメリカとイギリスの大学入学資格も得ていたので、大学入学など、よりどりみどりだった。
響は悩みに悩んだ末、血の涙を流しながら渡英することになった。イギリスを選んだのは、脳とホルモンの関連の世界的権威がいたからである。
それが、6年前である。その間、なにかと理由をつけて奏の両親は響が日本に帰ってこないように工作していた。お陰で、ボクらは平和な生活を送ることができていたのである。
その響が、帰ってきていたのである。
嫌な予感しかしないとは、今日、このときのためにあるような言葉だと、本気で思った。
『このままじゃまずい』
放っておけば、響が犯罪に手を染めるのは、秒単位で時間の問題だった。奏の両親は彼を物理的に奏から引き離すしかないと結論した。
そこで彼にぬかづき、こう頼んだという。
『お前しか奏を治せるやつはいない。海外に留学し早く医者になって奏を治してくれ』
実際、響はIQ160の天才であり、すでに中学3年にして、日本の大学、ついでにアメリカとイギリスの大学入学資格も得ていたので、大学入学など、よりどりみどりだった。
響は悩みに悩んだ末、血の涙を流しながら渡英することになった。イギリスを選んだのは、脳とホルモンの関連の世界的権威がいたからである。
それが、6年前である。その間、なにかと理由をつけて奏の両親は響が日本に帰ってこないように工作していた。お陰で、ボクらは平和な生活を送ることができていたのである。
その響が、帰ってきていたのである。
嫌な予感しかしないとは、今日、このときのためにあるような言葉だと、本気で思った。