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彼女はボクに発情しない
第6章 雨音とキスの追走曲
【Torrential Rain and Kiss Fugue】

奏が泣いている。
両の目を手で覆って、大声で泣き崩れている。

ボクはなんとか慰めたくて、奏の肩に触れようとした。

『触らないで!』

途端、鋭い声とともに、手を振り払われてしまった。
ボクはどうすることも出来ずに立ち尽くす。ボクの失敗だ。
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