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彼女はボクに発情しない
第7章 素晴らしい日々を彩る伴奏曲
☆☆☆
「じゃあ、また明日〜」

夜中の0時。陽太が我が家の玄関から帰っていく。それを見送って、扉を閉めると、途端に家中がしんと静まり返り、気温が一段階低くなったように感じる。

シャワーを浴びて、ナイティに着替える。髪の毛を乾かすとあっという間に午前1時だ。私はベッドにぽふんと横になった。

「陽太、帰っちゃったな・・・」

ポツリとつぶやいて、ハッとする。当たり前じゃない。だって、だって・・・。

陽太には陽太の生活があるのだから。
私はそこに居ないのだから。

『合宿』では、一緒に笑い合ったり、休憩中はお菓子を食べたり、楽しかった。
ううん、今日だけじゃない。陽太がいると、私の日々はまるで花が咲いたように賑やかになる。
陽太の周りの世界は温かい。

もし、言っていいなら陽太に『帰らないで』と言いたい。ずっと私の横にいて欲しい。でも、それは許されない願いだ。

今でさえ、私は陽太を縛り付けてしまっている。

これ以上望むのは罰当たりというものだ。
だからせめて、彼の邪魔にならない距離にいる。彼の生活の主旋律は奏でられなくても、せめて伴奏はしたい。それが、きっとぎりぎり私に許されたラインだ。

未来で笑うあなたの横にいるのは、私ではない。そうであるはずがない。

だから、応援するから。
あなたの人生が温かく、素晴らしいものになるように。

そんな事を考えていたら、自然と涙がこぼれてきた。
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