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彼女はボクに発情しない
第9章 ボクと歌姫たちの三重奏
セミロングの髪の毛をハーフアップにしている。髪留めはいつもの金のホルンをあしらったものだ。上はややミルクっぽい色のパフスリーブのシャツ、ボトムはウォッシュアウトしたジーンズ地の少しゆったりしたパンツだった。
あまり荷物はないのか、肩から斜めに小さめの茶色いポーチをかけている。

飾らない感じが、奏によく合っている。
私服の奏はめちゃくちゃ可愛い。

ちなみにボクはというと、家に適当にあった、なんだかよくわからない樹が真ん中にどーんと描かれたスカイブルーのTシャツに黒のジーンズ、という色の取り合わせもくそもない服装だった。

家を出る前に、妹の風香がボクの格好を頭から足の先まで舐めるように見て、ため息をついていた。その時はなんだよ!と思ったが、こうして奏の格好を見て、失敗したことを痛感する。

でも、まあ、しょうがない・・・。

とりあえずボクらは連れ立って約束した場所に向かった。

集合場所は、駅からほど近い、サークル・ワンという複合アミューズメント施設だった。
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