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彼女はボクに発情しない
第2章 幼馴染の輪舞曲
この後も数回このようなことがあった。きっかけはいつも男の人が奏に近寄ったり触れたりしたときだった。もちろん、男性がいる場面で毎回そうなるわけではない。なる時とならない時があるのだ。ただ、その法則は奏自身にもよくわからないようだ。

そして、幸運なことに、ボク以外のクラスメートに、奏の『発情』がバレることはなかった。

ただ、家では隠しきれなかったようで、ほどなく両親の知るところとなったみたいだった。

小学校4年生の秋ごろ、数週間奏が学校に来なかったことがあった。その時、どうやら入院も含めて検査を色々したらしい。
そこでついた診断名が「特発性性欲亢進症」(Pheromone-induced hypersexuality)、略してPIHだった。

世界に数例しか症例がなく、治療法は不明。何らかのきっかけで発情したら、対症療法としては『エクスタシーに導く』つまり、イかせるしかないのだ。さらに厄介なことに、奏の場合は自慰ではダメだったのだ。どういう理由かは分からないが、オナニーではイケないのだ。

奏の両親は悩みに悩んだ。これは後から奏の母親に聞いた話なので本当はどう言ったのかはイマイチ不明だが、奏はこう言ったらしい。

「陽太くんが一緒なら大丈夫」

以来、奏が発情したらボクが処理する、ということが日常になったのだ。
病気が病気だけに、このことを知っているのは、奏自身のほかは、彼女の家族とボクだけだ。
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