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背徳は蜜の味
第10章 人妻その十 ~補導した少年と禁断の関係~
「なあ、今夜もボランティアとして夜の街を巡回するのかい?」
夜勤の準備をしながら夫の直之は妻の香苗にそう言った。
「ええ、もちろんそのつもりよ
だって、あなたは夜勤だし、一人で部屋に居ても退屈なのよ
だから、昔取った杵柄じゃないけど、
こんな私でもお役に立つなら、この街を少しでも健全な街にしたいんですもの」
「正義感もいいけど、くれぐれも用心しろよ
若い子たちのバックには半グレと呼ばれる良からぬ奴らもついているというしな」
「護身術ならお手のものよ
あなただって私の合気道の腕前を知ってるでしょ?」
香苗も元々婦人警官だった。
異性との出会いが少ない職場では
どうしても警官同士の婚姻が多くなる。
香苗と夫の直之も多分に漏れず職場結婚した仲であった。
三十路を向かえようという二人だったが、
未だに懐妊の兆候もなかった。
それも当然であった。
不規則な勤務ゆえに非番の日の直之は心身ともにクタクタで、とてもではないが子作りに精を出すなんて到底無理な話であった。
そんなわけで、妻の香苗は退屈しのぎに
補導員として夜の街を警らすることにした。
もともと、少年補導課だっただけに
現役の頃を思い出して、けっこう楽しくボランティアを続けていた。
今夜もマンション近くの通称三角公園と呼ばれている空き地を重点的に見回ることにしていた。
東京の東ヨコや大阪のグリ下のように
こんな街でも、顕著に若者が集う吹き溜まりのような場所が自然に発生していた。