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背徳は蜜の味
第11章 人妻その十一 ~温泉で犯されて~
朝、夫を仕事に送り出して
秀子はドレッサーの前に座り、自分の顔をしげしげと眺めていた。
華やかだった芸能活動の時とは打って変わり、
目尻には小じわが目立ち、頬も垂れてきた気がする。
彼女は高校生の頃にスカウトされ、
瞬く間に銀幕のスターにのしあがった。
当然の事ながら女優業だけでなく、
事務所は彼女に唄を歌わせてCDデビューさせた。
そんな時だった、秀子のスタイリストだった夫と恋に落ちて、事務所が引き留めるのを袖に振って、秀子は彼と結婚するために芸能界を引退した。
リリースしたのは数曲だけだったが、
それなりの人気があるのだろう、
彼女の預金通帳には毎月いくらかの印税が振り込まれていた。
そんな小遣い程度の印税でも
15年も貯めこむとそれなりの金額となった。
夫に相談すると「君が稼いだお金なんだから、君が自由に使うといい」と言ってくれたけど、
できれば一緒に楽しむことに使いたい。
「そうだわ!結婚15周年だわ!」
あまり知られてはいないけれど
15年目は「水晶婚」と言うのだそうだ。
秀子はスマホで旅行会社のサイトを開くと
夫の都合など考えもしないで
一件の温泉宿に宿泊の予約を入れた。
その事を帰宅してきた夫に告げると
「え~っ?そういことは前もって相談してほしいなあ」と浮かぬ顔をした。
「お仕事、忙しいの?」
「そういうわけじゃないけど…
やっぱりさ、そういうことはちゃんと話し合おうよ。だって、俺たち夫婦なんだぜ」
「ごめんなさい…サプライズで驚かせてみたかったの」
「別に責めているわけじゃないんだよ
女の子はサプライズが好きだからわからなくもないけど…
予約したからには楽しむことにするか…」
不服そうな言い方をするけど、
これが夫の癖なのよね…
秀子が考えた通り
夫は久々の妻との旅行にウキウキしていた。