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背徳は蜜の味
第14章 人妻その十四 ~保育園の保父さんと~
「乾杯!!」
幼稚園では最大のイベントであるクリスマス会を無事に終え、保育士と運営に携わってきた保護者が慰労会を開いていた。
当初は、本当に慰労会というだけあって
幼稚園の遊戯室にテーブルを並べて
各自が手料理などを持ち寄ってお茶やコーラで茶話会的な集いだったのだが、
やがて、手料理が面倒だの、遊戯室の整理が手間だとかで、なしくずしに居酒屋で忘年会を兼ねるのが習わしとなった。
ビールのグラスを片手に
乾杯の音頭を取った園長も
この日ばかりは厳粛な顔を脱ぎ捨てて柔和な笑顔で会場をにこやかに見渡していた。
「三島さん、今回は本当にお疲れさまでした」
保父の新山健斗が、まだ半分ほど残っているビールのグラスに溢れんばかりに注いでくれた。
泡が界面を越えて溢れそうになるので
はしたないとは思ったけれど「うわっ!」と慌ててグラスに口を寄せてビールの泡を吸い上げた。
「私なんて何も疲れるようなことはしていませんわ」
「またまたぁ!そんな謙遜しなくていいんですよ
今日のプログラムの中ではあなたが作ってくれた指人形の劇が一番盛り上がっていたんですから」
裁縫が得意だったのと、娘と一緒に何かを作るというのがこれほどまでに楽しいのかと
あらためて教えてくれた幼稚園に感謝こそすれ、
誉められてしまうと照れ臭い。
「ほらっ!そこぉ!
三島さんが美人だからといって口説いちゃダメでしょ!」
保育士の中で一番の年輩である保母の柳原さんが
顔をつきあわせるようにして仲睦まじく話し合っている琴江と保父の新山を茶化した。
「そ、そんな!口説くだなんて…」
本心は口説こうとしていたのか、
新山はお酒のせいだけでなく、顔を真っ赤にして少しだけ琴江と距離を取った。