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背徳は蜜の味
第14章 人妻その十四 ~保育園の保父さんと~
やがて酒宴はお開きとなり、
保育士たちはその足でカラオケボックスに向かい、
保護者はそれぞれ自宅への帰途についた。
「ふう~、少しだけ呑みすぎたかしら…」
琴江はタクシーを掴まえようと、
大通りに向かって歩き始めた。
時間帯のせいか、通りかかるタクシーは
どれもみな先客が乗っていて空車のタクシーが来ない。
『こんなことなら主人に迎えに来てもらえばよかったわ…』
クリスマス会には夫も来てくれて、
その後に慰労会に出席を促されていると告げると
「じゃあ、娘の真奈を連れて実家に連れていくよ
じっちゃんやばあちゃんも真奈に会いたがってるしね」そういってマイカーに娘を乗せて実家に里帰りしてしまっていた。
車でこちらに迎えに来て欲しいと言っても
片道で一時間はかかるから、そんなに待てないし、主人だってこんな時間にこちらに向かって車を走らせるのは渋るだろう。
「仕方ないわね…歩いて帰るとしますか…」
独り言を呟いて
酔いざましをかねてトボトボと暗い夜道を歩き始めた。
そんな時だった。
「三島さん!真奈ちゃんのお母さん!」
背後から呼び止められた。
振り返るとそこには保育士の新山が、ハアハアと息を切らしながら駆け寄ってきた。
「まあ!新山先生!
皆さんとカラオケに行かれたんじゃなかったの?」
「ええ、行くフリをして、途中でスケープゴートしてきました」
走って琴江を追いかけて来たので
酔いが一気に回ってきたのだろう。
千鳥足が激しくなって腕を取って支えてあげないと道路に飛び出しそうで怖かった。