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背徳は蜜の味
第16章 人妻その十六 ~内緒のソープ仕事~

メイクの仕上げに真っ赤なルージュを口紅にひく。

下着だってドレスにシルエットが浮かんで邪魔にならないほとんど紐と言ってもいいようなストリングスを選んでいる。

「すまんな…38にもなってそんな淫らな格好させてしまうなんて…」

夫は明細書と電卓をにらめっこしながら
夜のお仕事に出掛けようとする妻の穂波に申し訳なさそうに呟いた。

「あなた、何を言っているのよ
夫婦なんだから家計のためにお互いに頑張るのは当然でしょ」

香水をデコルテに振りかけながら
ドレッサーで自分の姿を映しながら
まだまだ捨てたもんじゃないわねと
自分で自分のボディラインをチェックする。

夫は貿易商を営んでいるが、
数年来に及ぶ円高で家計が苦しくなっていた。

娘の亜里沙も派手な母親の姿を見て
「おかあちゃん、どこかに出掛けるの?」と
不安そうな声をあげる。

「おかあちゃん、ちょっと夜のお仕事に行くことにしたの、夜中に帰ってくるけど、ちゃんとお父ちゃんとお留守番していてね」

家計が苦しいので娘の亜里沙が望むスマホも買い与えることができない。
なんとか稼いで、クリスマスプレゼントにスマホを与えたいと、少しぐらい辛い仕事でも乗り切るつもりでした。

「帰り、遅くなるんだろう?車で迎えに行こうか?」

「大丈夫よ、仕事柄、アフターもしなきゃいけないだろうけど、ちゃんとタクシーで帰ってきますから、亜里沙と二人で先に休んでてくださいな」

そう言って部屋を出て、エレベーターに乗り込むと
相乗りした他の部屋の住人からは派手な姿を白い目で見られた。

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