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背徳は蜜の味
第17章 人妻その十七 ~二刀流の男に愛される~
時計の針が午後11時になろうとしていた。
今夜もまた夫はどこかで知り合った人を家に連れて帰ってくるという。
夫は同性愛者…
世間の目を誤魔化すために私と婚姻関係を結んだ。
世界的に見て性の多様化が認め始められてはいるものの、夫のように声を大にして公表できない方々はまだまだ多い。
涼子はいたってノーマルな女だけども、
そんな涼子が結婚相談所で夫の一義からアプローチを受けて婚姻に至ったのも、経済的理由が一番だった。
多額の借金ではないけれど
負債を背負っていた涼子は、経済的に補ってくれる相手なら誰でもよかった。
そんなとき、一義からアプローチを受けて、
最初のデートで同性愛者だと打ち明けられて
仮面夫婦の提案を受けた。
もともと、夫は涼子のタイプでもなく、
金銭面だけ補てんしてくれるのであれば、
それでいいと、一義の誘いに乗った。
世間から見れば夫婦仲の良好な仲睦まじいカップルに見えるだろう。
買い物やレジャーにも仲良く手を繋いで出掛けていたし、嫌悪感はあるものの、こうして一義と一緒にいれば借金の返済も滞りなく支払う事が出来たし、
好きでもない一義に体を求められる事もないので、
それはそれで涼子にとっても合理的な男だとも言えた。
ただ…
一義の性欲が高まれば、
発展場と呼ばれるところで男性パートナーを見つけては連れて帰って来るのだけは困っていた。
ラブホテルやカーセックスで性欲を処理してくれればいいものを、世間の目を気にする小心者の一義は気に入ったパートナーを連れ帰ってきては自分の寝室で濃厚な同性愛を楽しむのだから、隣室で睡眠する涼子にとってはたまったものではなかった。
「ただいま、今帰ったよ」
今夜もまた、どこかで今夜のパートナーを見つけて連れ帰ってきたようだった。