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背徳は蜜の味
第36章 人妻その三十六 ~義弟に抱かれて~
ガラガラと大きなトランクを引きずって
今村健二がメモを頼りに部屋番号を確かめながら歩みを進める。
「えっと…609、609…
あ、あった!この部屋かぁ!」
健二は意気揚々とドアホンを押して兄の出迎えを待った。
- よお、健二!よく来たな、
ロックは開いているから入ってきなよ -
懐かしい兄の健一の声に感激しながら
健二はドアを開けて部屋に上がり込んだ。
「兄ちゃん、しばらくご厄介になります!」
ガラガラとトランクを引きずって、兄がこっち、こっちっと手を振って手招きするリビングに向かった。
途中のキッチンルームから「もう!掃除をしたばかりなのに、トランクを引きずらないでよ!屋外でも転がして来たんでしょ?フローリングが傷ついちゃうじゃない!」
兄の奥さんの和海さんが、トランクを転がさずに持ち上げてほしいと催促する。
その声のトーンから、自分があまり歓迎されていないのがわかった。
「義姉さん、すいません、田舎者だから気がつかなくて…
しばらく居候させていただきますがよろしくお願いします」
義姉の和海さんは容姿端麗で女優さんかと見間違うほどの美人だが、少々、気性が激しいので健二はあまり彼女と馴染めなかった。
「そうね、本当にしばらくの間でしょうね?
早く下宿先を見つけてもらわなきゃこちらだって困るんですからね」
客人じゃないんだからコーヒーぐらいは自分で淹れなさいよねと、
ガチャンと音をたててテーブルに健二のコーヒーを置いた。
「ええ、そりゃあもう重々承知しています
けれど東京って思っていた以上に物価が高くて…」
「なあ~に、気にすることないさ
兄弟なんだから、こういう時こそ兄を頼ってくれていいんだよ」
久々に会えたんだ、ゲームでもやるか?と
兄の健一がゲーム機を引っ張り出すのを「ダメよ!あなたは夕飯の手伝いをしてくれなきゃ!一人分増えるだけでも大変なんだから」と、再会を懐かしがる暇を与えずに、兄の健一をキッチンに呼び出した。